良いピアノタッチと悪いピアノタッチ
** 圧力タッチの原因 **
ピアノタッチを考える時に、まず大事なことは良い音を知ることです。
それには、毎日自分の出した良い音を聞き、良い音を聞く耳を作らなければなりません。
そして具体的な曲のムードにより欲しい音をイメージします。
ピアノタッチでよく起きるのは、強い音を出そうとして圧力のかかりすぎた硬い(重い)音にしてしまうことです。
“圧力タッチ” と呼んでいます。
こうなるとデリケートな強弱がつかなくなってしまいます。
原因としては指先が弱いまま強い音を出してしまうことが多いようです。
対策としては、十分な練習量を積むこと、脱力のテクニックを身につけることなどが重要になってきます。
** 浮いたタッチの原因 **
また、圧力タッチとは逆に、指の力が弱くて鍵盤を底まで押し切れない弱々しいタッチを “浮いたタッチ” と呼んでいます。音が途切れたり、力のない演奏になってしまいます。
これはハーフタッチと似ていますが、全く違うものです。
ハーフタッチは演奏者が意識してコントロールして弾いているので、自分の求めている良い音が出ているのです。
浮いたタッチは、練習不足や、演奏中に指先の意識が薄くなって集中できていない時、不安がある時などに起こりやすいようです。タッチの感覚を失ってしまっている状態です。
圧力をかけすぎるタッチや、弱く浮いたタッチは、誰もがいちどは経験する悪いタッチですが、なかなか抜け出せなくて困っている人もたくさんいます。
これらの悪いピアノタッチは、改善していかなければなりません。
** ピアノタッチの悪さは色々な問題が出てくる **
1.手が疲れやすい人の原因の1つにも、タッチの悪さがあげられます。
筋力や運動機能が十分でないために、演奏中無理をしてしまうと、タッチが悪くなり、脱力もままならないため、エネルギーを浪費してしまい、結果として手が疲れてしまうのです。
良いタッチのためにも、手が疲れてしまわないためにも、十分にトレーニングを積み、持久力をつける必要があります。
2.タッチはペダルとも関係してきます。
例えば、タッチが強くなりがちの人がペダルを多用したり長く踏んだりすると、うるさく聞こえることがあります。
その場合は、短めにするか、踏むのをやめてみます。
逆に柔らかいタッチで演奏できれば、長く踏むペダルでも大丈夫かもしれません。
柔らかいタッチのための練習法、
A:タッチの基本をしっかりさせる
B:トレーニングして指などを強くし、速く動くようにする
どんなタッチでも最初にしなければならないことは、打鍵前の準備(すべての音)です。
ここがしっかりしていないと次の動作に移れません。
一瞬で音に反応し、鍵盤に指先を素早くセットさせることができる必要があります。
次に打鍵前の指の高さ(指先から鍵盤までの距離)を意識します。
柔らかい音が必要なら指先は鍵盤にピッタリ付けておくべきです。
鍵盤の離れた高い位置から叩くと柔らかい音はまず出ないのです。
3.タッチが悪いと離鍵が遅くなり音が濁って聞こえます。
タッチの悪さと言っても様々ですが、指の分離が悪い場合、離鍵が遅くなり音が濁ることがあります。
また離鍵が遅いということは、リズムが乱れたり、音量のコントロールもうまくできないでしょう。
練習では、無意識にぼんやりと指を動かすだけにならないようにしなければなりません。
それには、まず指の動きを意識することが必要です。
十分に意識するには、ゆっくりと弾きます。
指の動きを強く意識することで筋肉が強化されるようになります。
離鍵を速くするには、鍵盤から指を離すときの意識が大切です。
この練習方法としてはスロートリルが良いでしょう。
そして、ゆっくりとした練習のあとは、素早い指の上下運動を目指すと良いでしょう。
** 最後に **
良いタッチは、例えばフォルテも強い圧力ではなくても音量を得ることもできます。
イメージした欲しい音が出せるようになります。
また、早く長い曲でも指や腕が疲れにくい状態で演奏することができます。
手のフォームを気をつければ、和声のバランスも良くなります。
どのようにピアノタッチの練習をすれば良いのか、
実践的な練習方法を教材の中や読者限定の掲示板で公開中です。
練習曲も紹介していますので、ぜひ良いタッチを身につけてほしいと思います。